今回の記事も、前回に引き続き、小学校の教員志望の方向けの記事として書いていきます。
加えて、私立小学校志望の保護者の皆様にも、私立小学校と公立小学校の採用プロセスの違いなどを知っていただくきっかけになればとも思っていますので、ご興味がありましたら是非お読みください。
目次
教員採用試験は公立だけではありません!私立も選択肢に入れてみましょう!
私のツイッターのフォロワーの方々の中には、将来教員として働きたいと頑張っている学生のみなさんも多数いらっしゃいます。
このブログを書いている今は10月。
SNS上でも『教員採用試験に合格しました!』などの嬉しい報告も多数あがってきました。
もちろんそれはおめでたいことで、将来に向かって邁進してもらいたいものです!
しかし、残念ながら・・・・
不合格
となってしまった方々ももちろんいらっしゃいます。
今回の記事は、今年度の採用試験に落ちて進路に迷っている方や、今後試験を受けようとする方の選択肢の視野を広げてもらおうとして書いています。
要するに”小学校は公立だけではないですよ!”というこうとなのです。
なぜ学生の多くが公立を目指すのか
私はいま私立小学校に勤務していて、そもそも大学卒業段階では一般企業へ就職するという周りとは全く違う方向へ進路を取っていきました。
だからこそ思います。なぜみんな公立の先生になろうとするのだろう?と。
振り返ってみると、私自身も大学時代は教員免許をとるべく授業を受け、周りは教員志望の学生ばかりでしたが、やはり私立の小学校の先生になろうと言っていた者など皆無でした。
これはおそらく、学生自身の情報不足と固定観念からくるものではないかなと思っています。
特に自分自身が公立出身の場合、私立の小学校などは無縁の存在ではありますし、周囲を見渡しても私立小学校出身者に出会うことは中々ない環境であると思います。
そして、先輩や同期が当たり前のように公立の教員採用試験を目指して勉強を始め、教育実習も出身校や国立の付属校など私立とは程遠いところで学生生活を送っていることも多いので、そもそも私立の小学校へ勤めたいという発想が浮かびにくいのも現状です。
(私自身は企業就職が決まっていたことともありますが、学生の段階では全く私立小学校に勤めるなどとは思っていませんでした)
公立小と私立小で先生を目指す上での違い
採用試験は全く別である
まずここが大きく違います。
- 公立:都道府県や政令指定都市ごとに試験
- 私立:その学校法人ごとに試験
また、試験内容についても大きく違っていて、自治体が実施している採用試験は本屋さんに行けば過去問集なども売っているように、例年ほぼ同じような傾向で試験が実施されていきますが、私立学校の場合は試験内容も独自の試験になっています。
(ちなみに私の勤務校では、筆記、論文、実技、模擬授業、面接など5次試験くらいまでありました)
採用試験の倍率が全く違う
近年、学校教員のブラック化がクローズアップされ、加えて団塊世代教員の大量退職に伴って、公立教員の募集数が増えています。
結果的に、採用試験の倍率がどんどん下がっている現状があります。
直近の小学校教員の倍率を調べてみるとこんな感じでした。
2019年度の小学校採用試験の倍率
- 東京都:2.4倍
- 愛知県:3.2倍 名古屋市:3.4倍
- 大阪府:4.2倍 大阪市:2.4倍
- 福岡県:1.4倍 北九州市:3.2倍
大都市圏と言われる自治体の小学校教員採用試験の倍率は上記のようになっていました。
中高や養護教諭の試験倍率はもっと高いですが。
倍率については小学校は学校の数も多いので、少し他の校種よりも低いですし、採用数も圧倒的に多いのが現状です。
ちなみに私立小学校採用試験の倍率はというと、私が採用されたときは30倍くらいです笑。
30倍!?
と思われるかもしれませんが、私立小学校の場合には新設校でもない限りは募集人数は”若干名”となっており、実際に募集している人数は1~数名でしょう。
ですから、1名募集のところに30人の希望者が集まれば、倍率は30倍ということになります。
私立小学校の場合は『誰かが退職すれば、その分を補てんするべく採用試験が行われる』という形が多いです。
自治体や学校によって給料は違う
給料も採用される自治体や学校によって全然違います。
教員になるためにはもちろん熱意なども必要ですが、将来結婚をして家庭を持つことを考えると、収入というものは非常に大事な要素になってきます。
文科省が平成31年度に実施した、地方公務員給与の実態調査によると各自治体の採用1年目の平均給与は下記の通りでした。
公立教員の1年目の給与平均
都道府県教員:21万6953円(大学卒)
指定都市教員:21万8719円(大学卒)
(参照)文科省 地方公務員給与実態調査
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/pdf/h31_kyuyo_1_03-3.pdf
若干、指定都市の方が高い結果となっています。
これに各種手当が付くと思いますが、教員は残業代という概念がそもそもなく、教職調整額という微々たる手当が残業代のような扱いで出されます。
教員になった場合、定時で帰ることなどまず不可能ですから、これを高い安いと判断するのは難しい問題です。
私立小学校の給料はというと・・・・わかりません笑。
なぜかというと、法人の経営状況によっても給料が違うからです。
私も同業の友人が多数いますが、こういった話をすると学校によって大きな開きがあるなとは思うところです。
私の給料をここでお伝えすることはできませんが、今と同じパフォーマンスを求められて上記のような給料であれば転職します笑
これはあくまでも私の予想ですが、私立小学校でも給料の高いところの共通点として挙げられることがあります。
私立でも給料が高い可能性が高いところ
- 付属の大学が有名校や人気校
- 中高も人気で倍率が高い
要るするに”志願者が多い=安定して授業料収入を確保”という構図を達成しているところは私立の中でも比較的高水準な給料をもらえる可能性が高いと思われます。
ただ、経済不況や学校のレベルダウン、不祥事等で定員割れを起こしてしまったりすると、教員の給料にもそれが反映される可能性があるので、そこは公立教員とは違うところです。
転勤についても違う
私はサラリーマン時代に将来を悲観したことの一つに転勤がありました。
企業戦士時代は辞令交付の時期は戦々恐々。紙切れ一枚でいきなり縁もゆかりもないところに飛ばされる可能性がありました。
特にご家族がある場合は、単身赴任をするのか、家族ごと行くのか、子どもを転校させるのかなど、転勤によって生活状況が一変してしまうこともあります。
教員の世界では、公立の場合は各都道府県や特定の市によって採用されますし、私立の場合はその学校に採用されることになるので、基本的には都道府県を超えての転勤はありません。
ですから、家族が出来た場合でその仕事をずっとしていこうという場合にも、家を建てたり、その後のライフプランも立てやすいといえます。
転勤についての違い
- 都道府県での採用の場合
⇒採用された都道府県内での異動はある!
- 政令指定都市での採用の場合
⇒採用された市の中での異動はある!
- 私立小学校の場合
⇒基本的にはその学校以外への異動はない!
公立の友人に聞くと、異動についてはその異動先によって向こう何年かの運命が決まるといっていました。
落ち着いている地域に配属されればいいですが、そうではない地域へ配属されたりすると、本当に大変なのだそうです・・・。
施設面の充実度は圧倒的に私立の方が高い
これは想像通りだと思いますが、コロナ禍でのICT機器を使ったオンライン授業などは一部の公立校を除いては私立に軍配が上がっています。
保護者の皆様からは高い学費をいただいて日々の教育活動をしていきます。
その分に見合った施設、設備のハード面の充実を図る必要があり、実行できている私立学校が多いように思われます。
副教科の指導はプロがする可能性が高い!
私が公立の先生方は本当に大変だなと思うところの一つに、学校によるとも思いますが音楽や図工などのいわゆる副教科の指導もすべて担っていることが挙げられます。
教員にも得手不得手がありますし、全く自身が未経験のものを指導するなどどう考えても限界がありますよね。
でも公立の採用試験ではピアノ演奏があったり、現場に行けば絵心や美術に関する造詣もほぼないのに指導をしていくことになったりと、心の余裕も失われていきそうです。
その点、私立小学校は教育力や施設の充実はもちろん、教員の質も児童募集の上では重視されます。
保護者の皆様からしても、ド素人に音楽や図工などを教えてもらいたいはずはありません。
その結果、そのような副教科の授業はその道のプロの方が指導をされていることが普通です。
このことは、子どもたちにとっても、我々教員にとっても幸せなことであると思います。
そのおかげで、我々教員は主要教科の授業に主眼を置くことが出来ますし、時間的、精神的余裕も生まれるので、よりよい教育活動が行えるのです。
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私立小学校の教員採用情報はどこに?
もしも、教員志望の方で私立小学校へ興味を持たれた方は一度調べてみて下さい。
各校の採用情報は、次のような場所を見ればあります!
- 各小学校のホームページ
- 私立小学校連合会のホームページ
私立小学校も公立小学校と同様に、募集があったとしてもそれが専任教員の場合と常勤講師、非常勤講師などの場合もあります。
最近は常勤講師として中に入ってから、専任教員を目指す人が多いような気もしますが、中に一度入ってみることも視野を広げる上ではいいかもしれませんね!
そして、中に入りながら採用試験があればそれを受けて専任教員の道を目指すという流れが一般的かもしれません。
中で頑張っていればそもそも採用試験の時のアピールにもなりますしね!
全国の私立小学校の採用情報を見るなら
- 関東地区私立小学校連合会
- 大阪府私立小学校連合会
- 兵庫県私立小学校連合会
- 学校名から検索したい方はこちら
少しでも興味のある方は、こまめに確認しておきましょう。採用情報はいきなり出ます笑
私立の教員になるには?
私立小学校の教員は全国の小学校教員のうちの0.8%ほどです。
私も含め同僚もよく言っていますが、私立小学校で務めるのきっかけは様々な”縁”が結びついた結果だという方が多いです。
- 大学時代の先輩が務めていた
- 採用試験をたまたま知って受けてみた
- 試験は落ちたけど講師で採用された
- 大学でたまたま説明会が開かれていた 等
上のようなものは結果論かもしれませんが、まずは試験を受けないことには勤めることは不可能でしょう。
だから、気になる方は動くべきです!
どんな人が合格する?
もちろん学校により求める教師像が違うので一概にはいえませんが、やはり必要なものは熱意ですかね!
この仕事、しんどいこともいっぱいありますが、そこを乗り切れるのは熱意と根性です。
初めの数年はきついです!でも慣れてきます!結果も出ます!
あと、当然ですが学力も必要です!
私立小学校の採用試験は、狭き門なので多くて数名の枠に大量に人が来ます。
筆記試験で全く解けないようではさすがに話になりません・・・。
私が試験を受けたときには、算数と国語については難関中学の入試問題が出ました。
学歴についてもよく聞かれるのですが、今は小学校の免許が色々な大学でとれますよね?
やはり学歴が高いにこしたことはありません。
他の私学の先生たちも、国立系教育学部や私立大学でもいわゆる有名大学出身者が多いようにも思います。
実際、私立小学校の子どもたちの保護者の皆様はとてつもなく高学歴な方々が多い現状もあるからなのかもしれませんが。
でもそれらを含めても何かしらの”縁”や”運”などが味方してくれるのも事実なのです。
まずは、一歩目を踏み出しましょう!
本日のまとめ
学校の先生を目指している方は、周りに教員志望者が多ければ多いほど、その周りの環境が当たり前になっていて外を見ない傾向があると思います。
私自身は、そのような状況に『なんか違うな』と思って、先生になるにも一般企業に行ってからにしようと、みんなが遊んでいる大学3年生の時に就活をしていました。
結果的は、サラリーマン経験は現在にも生きていますし、ほかの多くの先生が経験していないことを自分が出来たことは大きな自信にもなっています。
教員になった場合、教える子どもたちの大半は教師になりません。
その子どもたちを教える教員側は、多方面に進んでいく子どもたちのためにも多角的な視野を持っておくことが必要であると思います。
もしもこれを読んでいて、公立の先生になることしか頭になかった方でも、『あっ私立もあるのか』と思っていただけたとしたら、その方の視野はこれまでよりも少しは広がっていることになります。
来年度以降に採用試験を受けようと考えていらっしゃる方々に、少しでも参考になっていれば幸いです。
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