コロナ禍において、各自治体や各学校によって対応の分かれている水泳の授業。みなさんの学校ではいかがでしょうか?今日は、水泳指導をしている小学校の先生方に向けて書いていきたいと思います。
TwitterなどのSNS界隈を覗いていると『水泳が苦手でも指導しないといけないこと』のつらさなどをしばしば見かけます。今回の記事では『呼吸法』について焦点をあてて書いていきますし、コロナ禍でも声を出さずにできる私自身が実践しているものを紹介していきますね☆
偉そうに書いていますが、実は私、水泳が得意なのです!
筆者の水泳歴について
- 小学生時代:5・6年生 ジュニアオリンピック出場 50m平泳ぎ
- 中学生時代:1年生 ジュニアオリンピック出場 100m平泳ぎ
- 高校生時代:1~3年生 インターハイ出場
- 大学生時代:全国国公立大学選手権 100m&200m平泳ぎ 7位入賞
- 1日で最も長く練習で泳いだ距離:およそ30km(朝・昼・夜練)
- 大学時代、赤ちゃんから高齢の方までアルバイトで水泳指導
目次
先生方!水泳の呼吸法は意識していますか?
私の学校では、私自身が水泳の教員研修担当をしているので今回のような話をよくしているのですが、みなさんの学校ではいかがでしょうか?呼吸法と言われても『吸ってはく!これだけでしょ?』と思われるかもしれませんが、泳ぐうえで呼吸の仕方はかなり重要です。
もちろん、吸ってはくことには変わりはないのですが、それをどこを使ってやるかなのです。
水泳の指導本やサイトを見ているとボビングという動作を導入でしている場合も多いですが、息を吸ってはきながらジャンプを繰り返すなどと書かれてはいるものの、どこから吸ってどこから吐くかが書かれているものばかりではありません。
水の中での呼吸法は『口から吸って鼻からはく』です!
まずはこれを頭に入れておきましょう!
息がはけているかではなく、鼻からはけているかが大切なのです☆
鼻からはくメリット
- 口から出すよりも排出量が少なく息が長く持つ
- 鼻に水が入ることを防ぐことが出来る
鼻から息をはくための基本練習
では、実際に意識づけしていくために実践していることを紹介していきます。いいなと思ったことがありましたら、ぜひ実践してみてください☆
①呼吸法をプール授業までに陸上で指導
私の場合、プールに行く前の段階で『口から吸って、鼻からはく』という呼吸法について子どもたちに話をしています。
日常生活では『鼻から吸って口ではく』『鼻から吸って鼻ではく』『口から吸って鼻ではく』『口から吸って口ではく』などと様々な方法で子どもたちは呼吸をしていますよね。
まずは、事前に意識づけをしておくと良いと思います。この時点で陸上で練習してみてもいいかもしれません☆
これをプールでも意識できるように合言葉なんかも決めておくと意識してくれますよ!『水の呼吸』とか笑
②入水したら顔をつけてみる
『顔を濡らしてみよう』というところから始める方も多いと思うので、その次の段階としては『顔を水につける』流れになります。この時点で、ゴーグルがあればつけさせておいて、ない場合は目を閉じていてもかまいません。大切なことは鼻からブクブクが出せているかです!
この動作は、子どもたち自身でできているかどうかを判断させましょう!指導者は全体指導中には基本的に水中にはいないはずなので確かめることができませんからね。
③頭のてっぺんまでつけてみる
②から一歩進んだ状態ですね。この時も意識することは、『頭のてっぺんまできちんと浸かっているかよりも、鼻からブクブクを出せているかどうか』です。より意識させるために、口を押さえさせてブクブクはかせることもよいと思います。
④バディでお互いのブクブクを確認させる
バディシステムを採用している学校は、2人組で鼻からブクブクが出来ているかを確認させてみましょう!お互いOKだったら、水の中でOKサインをお互いに出して浮上するように指示します!
これは、コロナ禍においても水中ですから無言でできますよね☆
鼻から息をはくことの練習バリエーション
続いては、息を吸ったりはいたり、止めてみたりすることでどんな状態になるかを子どもたちに体感してもらう練習のバリエーションを紹介します。ここで理解しておくべきことは当たり前ですが下記です。
ポイント
- 息を吸って止めていれば体は浮く
- 息を吸ってはいていくと体は沈んでいく
この辺りは、子どもたちに考えさせてもいいかもしれませんね☆お風呂で空気の入った風船を沈めるよりも、空気の少ない風船を沈める方が簡単ですよね?という話です☆
①プールの底にお尻をつける
この指示を出すと子どもたちはたいていの場合、ジャンプをしてお尻をプールの底につけにいきます。
この動作は沈まなければいけないので息をしっかりとはいて、肺の空気を減らさなければなりません。鼻からのブクブクを意識させましょう。これもバディで確認させることも可能ですね☆
②水中でじゃんけん大会
書いているごとくなのですが、二人組でタイミングを合わせてもぐって水中でじゃんけんをします。これも一切無言(口パク)で相手と意志疎通できるので、コロナ禍でも大丈夫です☆
子どもたちに伝えるルールは『勝負がついたら浮かんでおいで』です笑
多少長引いてくると、吐く息を調節しないと絶対に苦しいですよね!でもここで気づくのです。ある程度息をはいたら体が浮かばず、水中で姿勢を維持できることに☆
③水中あっちむいてほい
水中じゃんけんのパワーアップ版ですね!これも無言の意思疎通で子どもたちは上手にできますよ☆水中で姿勢を維持できる分をはく練習にはなりますね。
もちろん、勝負が長引いて苦しくなった場合は浮上するようには事前に伝えておきましょう!
④プールの底に胸をつける
これは結構難しいです!息をはいて沈むという動作と、ジャンプした際に両足を後ろ側に抜いて体を斜め下に進ませなければいけませんので。
コツとしては、ジャンプの勢いのあるうちに全部の息を鼻から出すようにすることですね☆
このようなことから、鼻から息をはくこと、息をはくと体が沈んでいくことを体感させてあげましょう!
⑤プールの底に座る
これは息をしっかりと吐き切ればできますので、『体育座り』『あぐらをかく』『正座』など色々と指示をしてあげれば喜んでやってくれます☆
息を止めて浮く練習バリエーション
ここまでは『はいて沈む』ことを意識した内容でしたが、ここからは逆に『息を止めることで浮く』ことを体感してもらう練習です。
①だるま浮き
これはかなりされているのではないでしょうか!地面をけって、しっかりと息を止めて、あごを引いて、背中を丸めてプカプカ浮く動作ですね!
この時にありがちなことは、顎が上がってしまうことです。顎が上がると、背骨が反ってしまうのでお尻が下がってしまいます。顎を引いて猫背気味にすることでしっかりと浮きますから『空気のいっぱい入っている肺を上につきだそう』などと言ってあげましょう☆
②大の字浮き
字のごとく『大の字』で浮くことですね。しっかりと息を吸って、息を止めて、体を大きく広げて、力を抜くことで体が浮きます。
この時も顎があがってしまうと、首から背骨が下に引っ張り込まれてしまうので足から沈んでしまいますから、プールの底を見るように伝えてあげるとよいでしょう。
息を止めたら浮くことを体感するにはこの2つをすればよいと思います。この原理を子どもたちがわかってくれることが大切ですね!もしも、子どもたちから
などと言って来たら、もう原理の理解はばっちりですね☆
呼吸法が出来ていない子を見つける方法
コロナ禍や平時に関わらず、プール監視の観点からは複数人がプールにいない限り水中では指導をしてはいけませんが、プールサイドからでも呼吸法に課題のある児童を見つけることができます。
①『鼻に水が入った』という児童
普通に泳いでいる時には、基本的には完全に息を止めていることはありません。鼻から息が出ていると、鼻には水は入らないのです。
もしも鼻に水が入ったといいながら鼻を押さえているような児童がいる場合は、水中の呼吸の状況を確認すると良いと思います。
②息をするタイミングで口を閉じている児童
これ意外といますよ!子どもたちにクロールや平泳ぎ、ビート板を持ってさせるキックの練習の際の呼吸に注目してみましょう。
よく見ると、鼻で吸おうとしているのか口を全然開けていない子がいます。たいていこの場合は、鼻に水が入ったと立ちます。泳ぎのフォームだけではなく『口』にも注目しましょう。
③先生が実際にチェックする
子ども同士で呼吸法をチェックすることも大切なのですが、先生が実際に見てみるのもチェックする方法としてはありますよね!そもそも先生自身もきちんとできているのかを子どもに見てもらおうとすれば、相互作用で楽しく向上できるかもしれません☆
水泳の呼吸法まとめ
ご存知のことも多かったかもしれませんが、泳ぐよりも何よりも、まずは呼吸法が大切のです。鼻から水が入ってそれがトラウマになってしまったり、水泳が楽しくないと思わせてしまってはいけませんからね。
各学年によって到達目標があったり、隣のクラスとの進度の調整などで焦る場合もあるかもしれませんが、そんなことは子どもからすると知ったこっちゃありませんので、落ち着いて指導をしましょう。
私は、上にこれまでに書いた内容を1年生担任でも6年生の担任であっても毎時間導入で行っています。もしかしたら同じことを繰り返して退屈にさせているかもしれませんが、物事を修得するにはある程度の反復は重要ですので気にせずやっています☆(子どもたち自身からも『つまらない』などと言われたことはありません笑)
水泳の指導が苦手な先生は、苦手な子どもの気持ちもよりわかると思いますし、少なからず自分がレベルアップした方法や、自分自身がどのようにその動作をやっているかなどを確認すると指導をしやすいかもしれません。
本に書いているから、こう言われたから、と指導をするのではなく、その動きにどんな意味があるのかを考えるといいかもしれませんね☆
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