コロナウイルスの収束はまだまだ見えていませんが、学校現場は少しずつ”日常”に向かって戻ってきています。前回のブログでは、コロナ禍におけるオンライン授業について書きました。
今回の記事では、このイレギュラーな状態になっている学校現場で過ごしている中で感じたことについて書いていきたいと思います。
目次
①分散登校で感じた『少人数』のメリット
これはコロナがなければ絶対に感じることのできなかったことです。私の勤務校では、休校になった3月と4月はオンライン授業を実施し、5月からはオンライン授業+分散登校という形をとっていました。新しいクラスになり、画面上ではクラス全員と会っていましたが、いざ登校となると『密』を避けるために分散登校となったのです。
分散登校の名の通り、クラスの半数ずつが1日おきに登校するようになりました。1回の登校で学校に来るのは20人もいませんでした。初めて彼らに会った時はそれはもう嬉しかったです!
そして、できるだけ日常に近づけるべく、宿題や連絡帳も登校日ごとに提出させていました。
ここで感じたのです!今まで感じたことのない余裕を!!
この余裕とは『時間的な余裕』です。下のような日常業務の時間が半分になったことで大きな余裕が生まれました。
朝の時間だけでもすごく余裕が生まれた
半分になった日常業務
①連絡帳のチェック
⇒児童とのメッセージのやり取りも半分になり、1人1人への返事の分量を増加できた☆
②宿題のチェック
⇒漢字ドリル、音読カード、計算プリント等のチェックや丸つけも半分!めちゃ楽☆
③体温カードチェック
⇒半数であればすぐ確認できる☆
これらが日常の半分の時間で終えることが出来るので、子どもたちと話をしたり、ちょっと遊んだりする時間も捻出することが出来ました。
授業中の子どもの状況も2倍把握できる
クラスの人数が半分になっていることで、子どもたちの様子が手に取るようにわかります。普段の状態でも授業中は机の間を巡視して子どもたちの状況を確認をしていますが、やはり限界はあります。
しかし、分散登校中は確実に普段よりも手厚い指導ができていました。人数が少ないことで一人当たりに割くことのできる時間も増えますし、子どもたちの表情を見落としにくくなりました!クラスが半数になったことで、少人数のメリットを強く感じました。
現状、分散登校が解除され、少人数体制から通常のクラス全員が登校する状態に戻り、日常に戻りました。もちろん滞りなくこなしてはいますが、時間的余裕は分散登校時と比べるとやはりありません。
教員の通常時の1日に興味のある方は下記記事もご覧ください☆
②普段の行事が多すぎる件
分散登校期間が終了して子どもたちが登校してくるようにはなりましたが、例年行っている行事関連はすべて中止の状態です。
子どもたちは遠足がなくなったり、体育大会がなくなったり、プールの時間がなくなったりと色々なものが実施できない状態でとてもかわいそうですが、実はここでも我々教師はホッとしていたりします。
中学校や高校では行事がどれほどあるのかははっきりわかりませんが、小学校では多くの行事があります。
例年行っている行事であっても子どもたちは毎年違うわけなので、”昨年と全く同じで”というわけにはいきません。もちろん、100人以上の子どもたちをどこかへ連れて行ったり、何かをさせたりするわけなので口頭での打ち合わせレベルで行事進行するなど不可能です。
結果的に、行事の規模の大小にかかわらずいわゆる”実施要項”のようなものを作成する必要があるのです。例えば遠足の企画をするとなると我々は下のような動きをします。
遠足の企画はこんな感じ
①場所と日程の候補を選定
⇒学校行事日程の中で実行可能な日と学年実態に合わせた候補地を選びます。
⇒バスを利用する場合はバス会社さんとの調整も必要です。
⇒雨天時案も同時に考えます。
②場所の下見
⇒遠足には添乗員さんなどいませんので、教員が実際に行って行程、トイレの位置や個数など、現地でのことを確認します。併せて、費用面の調整などを現地の方と打ち合わせをします。また、食事を現地で取る場合には、アレルギー児童のメニューの調整や、誤食を防ぐために座席のレイアウト図なども綿密に打ち合わせをします。もちろん日中は子どもたちがいるので、勤務終了後に向かうことが大半です。
③要項の作成と学年での打ち合わせ
⇒打ち合わせや下見は学年の先生全員でいけない場合も多いので、誰が見ても当日に動くことが出来るように要項を作成し、打ち合わせを行います。進行の不備などがあると、子どもたちにも影響が出るので失敗できません。
④子どもたち用のしおりの作成
⇒子どもたちは遠足を楽しみにしているので、できるだけ楽しそうなしおりを作るように努力します☆
⑤遠足当日
⇒朝出発の1日遠足へ(^^)/子どもたちに楽しんでもらいます☆
と、こんな風に行事ごとに企画から実行までを要項と共に作成したりしています。
その行事が今はできないわけです。子どもたちと遠足に行ったり、何かをやったりするのは私自身もとても楽しいのですが、各行事の企画進行に大きな時間を要していたことも、それが出来ない今になって実感しています。
③定時というものを初めて実感した件
昨今、学校現場がブラックだ!などとメディアでも取り上げられたりして、世間的にもそのようなイメージがあるかもしれません。実際のところ、定時って何時から何時?みたいな感覚の先生が大半だと思われます。かくいう私もその一人で、通常の勤務は下のような状態です。
私の日常的な1日
6:45 出勤
7:30~16:30 授業や下校指導等
16:30~ 授業以外の仕事
終わったり、翌日の目途が立ったら帰る!
出勤してから子どもが帰るまでの時点で9時間ほど経っていますし、そこから自分の仕事や翌日の授業のことをしたりするので定時とか考えたこともありません。おまけに、残業代という概念も全くありません笑
なのですが!!
分散登校が始まった直後は、授業も昼までで、学校自体にも長居は出来ず、夕方には帰宅するように命令も出ていたこともあって、ほぼいわゆる『定時』で帰宅することが出来ていました。
教師になって初めて人間的な生活が出来た期間でした笑。特に実感できたことは下記です。
夫婦で一緒にいる時間が増え、ご飯も一緒に食べられた!
これすごく大きかったです。18時くらいに家に帰って、妻とご飯を食べて、ただただまったり過ごす!こんな当たり前の事が通常時にはまずできませんでした。
私は子どもがいないので家族は妻だけなわけですが、お子様がいる先生方はさらに有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか?特に中学校や高校で部活を持たれているご主人をお持ちの方は、土日もほぼ家にいないはず。部活未亡人なる言葉まである始末です。
コロナによって家にいられる時間が増えた先生の家族は、つかの間の”普通の家庭”を楽しめたのではないかと思います。
仕事を終えて、ただまっすぐに夕飯時に家に帰る!当たり前のことなのかもしれませんが、コロナ勤務下で初めて実感できたことです。
ちなみに通常に近い状態の勤務になった今、平日の同じような時間にご飯を食べることはほぼできなくなりました・・・・。
④出勤日数が明らかに増える件
私のツイッターの方では度々つぶやいていますが、遅れた分の学習を取り戻すべく土曜授業が開始されました。
地域によっては土曜日の授業をしていたりしていなかったりかと思いますが、始まった私の学校では子どもたちも週6で学校にきますが、私たち教員も週6出勤になっています。
この週6出勤は、通常の休業日に出勤することになるので完全にイレギュラーな状況です。ですから、休日出勤のような状況であるのでもちろん『振替休日』を取得することが出来ます。
しかしながら、実際のところ振替休日を子どもたちが登校してくる平日に取るなど不可能です。
だからといって、休日出勤手当みたいなものがあるかというとそんなものはありません。振休の権利を行使しないのはあくまでも自己選択!結局、週休1日生活が1カ月ほど続いており、結構ハードです笑
さらに、本来子どもたちが夏休みだった8月も授業をすることになっているので、唯一有休をとったりできる期間もずっと仕事をすることになりました。年間総労働時間や総労働日数の観点からしてもオーバーしています。(※よく夏休みは先生も休みですか?と聞かれますが、授業がないので業務的には楽です。ただ、宿泊行事の引率、研究会や研修会への参加、運動会のダンスの振り付けや隊形を考える作業、文化祭の劇の台本作成等に取り組んでいます。)
通常授業に移行し始めた結果、教師のワークライフバランスはさらに悪化したといっても過言ではありません。
でもみんな頑張っています!子どもたちが楽しみに学校に来るので☆
本日のまとめ
皮肉にもコロナの影響によって、色々なことを実感することが出来ました。
分散登校が終わって日常に戻りつつはありますが、もしかしたら我々教師の価値観を変えるチャンスに差し掛かっているのかもしれません。『何よりも子どもたちのため』『教師だから何でもやれという雰囲気』などの意見や考え方もわかりますが、学校の先生も1人の人間であり、家族や子供がいる人も大勢います。
土日にお子様が学校へ行ったりクラブへ行ったりしているご家庭もあるかと思いますが、そこには休日返上で自分の家族をほったらかして教え子を育てている先生方がいるんですよね・・・。私は小学校ですから日曜に出勤することは入試関連と自主出勤以外はありませんが、中学や高校の先生方は本当に大変だろうなと思います。
また、私の学校では今回のことを機に、これまで慣例的に行ってきた行事についても再考していこうという流れが始まりました。期待ですね☆(実際にはすでに出勤日数は増えていますが笑)
学校現場、そして先生に余裕がないと、そもそも子どもたちによい教育などはできません!コロナはまだまだ収束していませんが、これをきっかけとして、文科省、地方自治体、教育委員会、そして各学校が良い方向にベクトルを向けて進んでいってほしいなと思います。
今年度の児童、生徒、学生については、かわいそうなくらい何もできていません。一日も早く、この事態が収束してほしいものだと切に願うばかりです。
タップしていただけると励みになります
ブログ村にも参加していますので、訪れていただいた読者の方で下のバナーを押していただけると励みになります☆いつもありがとうございます(^^)
スポンサー・リンク