教育時事

【コロナ禍】コロナの休校でオンライン授業について改めて感じた事!小学校教員としての現場感

ようやく分散登校も終了して、通常登校、通常授業が行われるようになってきました。オンライン授業、分散登校、通常登校に移り、感じたことを今日は書いていきたいと思います。今まで当たり前にしていたことが当たり前にできなくなった状況だったからこそ改めて感じることができた感覚でした。

オンライン活用について感じた事 7選

日常授業をしながらコンテンツを配信するのは多分ムリ・・・

これは休校中にオンラインコンテンツを作っていて感じたことです。私の場合、3月から5月半ばまでで個人として作成したオンラインの学習コンテンツは30本以上あります。

これらのコンテンツは、授業の配信というよりもテキストの内容をイラストや音声を付けながら、実際に授業でしゃべるような口ぶりで動画にしていました。それに加えて、計算のコンテンツなども作っていました。計算コンテンツをブログ用にも作成したものは過去記事の通りです。

正直なところ上のようなフラッシュカード的な動画であれば、ベースのパワーポイントさえ作ってしまえば等間隔で動画を投影しながら音声と効果音をいれるだけなのでいれるだけなので、編集から出力まで含めても1つ10分もあれば作成できます。

ただ、テキストの内容を実際の授業のような内容で作成するとなると話は別です。1つの動画は長くても15分ほどですが、これを作成するには3時間以上かかっていたと思います。この1つのコンテンツを作成するための作業は以下の通り。

授業動画ができるまで

  1. 授業の展開を考える!(持っていき方、重要項目の洗い出し等)
  2. 合理的な展開になるようにパワーポイントを作成して、完成したら動画として出力!
  3. スライド1枚ごとにセリフの文章おこしをする!
  4. 動画編集ソフトにデータを入れて、セリフの音声入力と効果音など細かい編集をする!
  5. 完成した動画を自分の学年で回覧して確認してもらう!
  6. OKが出れば、クラスのグーグルドライブにアップして子どもたちへ!

という感じでやっていました。動画として配信するので、日本語のミス、表示のミスなどを起こしてはいけないので神経を使いました。

コロナ中はこのような作業を続けていたのですが、それを続けられていた理由は『子どもが登校していなかったから』と、休校に伴って『例年ある行事の企画や運営に要する時間がなかったこと』です。

日常に近い状態に戻った今もまだ例年と同じような行事は行えていませんが、通常登校が始まった今は、7時前に登校して20時ごろまでは基本的に学校にいる生活に戻りました。

私は普段から趣味で動画を作ったりしていて編集ソフトを扱うことには慣れていますが、やはり構想から完成まで持っていくにはかなりの時間を要します。

効果音やBGMなどを入れなければもっと早く終わったかもしれませんが、無機質すぎる動画は小学生にとっては退屈になってしまうので、個人的にはこだわっていました。小学生にはキャッチーな動画の方がやっぱり受けがいいですから笑

 

ZOOMなどのライブ配信は2年生以上であれば数回すれば操作は可能

私の勤務校では全校児童にオンラインコンテンツを学年ごとに配信していましたが、当初懸念されていた”低学年は操作ができるのか”という問題も、複数回繰り返していると操作が出来るようになりました。

私のクラスでも初めのうちは保護者の方がZOOMを子どもたちと一緒に参加して補助してくれていましたが、ホームルーム開始の時間になると子どもたちだけでもクラスのグーグルドライブにログインして、私が配信するZOOMのミーティングIDから参加することが出来ていました。こればかりは、保護者の方のご協力がもちろんあったとはいえ、何事もやらせてみるものだなと改めて実感しました!

ただ、大人でもそうですが経験したことのないイレギュラーな事態が発生すると小学生では対応できないことは言うまでもありません。そういう場合には一度ログアウトして再度入室するなど、対応策をその都度教えていくことで克服することが出来ました。

 

兄弟姉妹が多いご家庭は大変

仮に三人のお子様がいる家庭の場合、ZOOMで行うようなリアルタイム配信の授業やホームルームを行うときには同時に3台の端末が必要なわけです。子どもたち専用のタブレットやスマホを持たせていないご家庭(大半がそうです)では、そもそものハード面での課題がありました。

子どもたちの状況を見ていると、ノートPCでやっている子、おうちの人のスマホやタブレットを使っている子、職場の一室でそこのPCでやっている子など様々でした。

リアルタイム配信をしていくとなると、この課題はずっと付きまといますね。

また、配信する学校側もサーバーやワイファイ環境の増強などかなりの設備投資を有しますので、初期投資はやはり大きなものになります。

 

スマホでは画面が小さくやはり見にくい

オンラインでのコンテンツ視聴やライブ配信授業を活用する場合、やはり画面が小さいと学習効果は減少すると思います。

音声は問題ありませんが、ライブ配信の場合は黒板の字、コンテンツの場合は表示される字が見えないことは致命傷です。私もスマホで見ることを想定して、大きめのフォントで作成しましたが小さめのiphoneではやはり見にくかったそうです。

 

オンラインでは子どもの様子が全くわからない・・・

リアルタイム配信の場合

リアルタイム配信で行っていたZOOMでのホームルーム。画面にはクラスの子どもたちの顔が並んでいます。でも表示されている彼らの顔にはマスクがあり、表情は目からしか読み取れません。そして基本的に胸から上くらいしか映っていないので、表情だけでなく体の大きさなども全くわかりませんでした。

彼らが実際に登校してくると、もちろん個人個人に体格差がありますので画面上と実物との違いに初対面の時は驚きました笑

それは私だけでの感覚ではなく、子どもたちも同様でした。新しいクラスでしゃべったことのない友達が画面に映り、ホームルームを進行している担任すら画面上で初めて会う状態。友達がどんな子なのか、担任は今どんな表情で話をしているのか。不安が募るのも当然ですよね。

私も子どもたちを笑わそうとボケてみたりするのですが、子どもたちも初めは『これはボケなのか??』みたいに感じていたようで笑っていいものなのか反応も薄かったです。その反応を見て、渾身のボケをしている私はスベッているのではないかと不安にもなります。(話していること自体はスベッていなかったとは信じたい笑)

改めて、目の表情、そして声のトーン、抑揚の大切さを実感しました。オンラインの場合は声質が変わっているみたいで、大げさに話すくらいがちょうどいい感じのようです。

 

コンテンツ配信について

コンテンツ配信は、子どもたちの理解度や様子が全然わかりません。

リアルタイムの授業配信でも、先生が授業をしながら参加している子どもたちの様子を把握するのは難しいでしょう。(胸から上しか映っていませんし、リアルタイム配信の授業の場合はカメラを見て話すはずなので、子どもたちの顔が映っているPC画面をずっと見るのは厳しいですよね)

私の学校が行ってきたことはリアルタイムのホームルーム配信以外は、コンテンツを作成して配信するというものです。このコンテンツ配信の最大のメリットは、繰り返し見られることが挙げられます。

とはいえ、コンテンツ配信では子どもたちが学習している姿は作成者である我々教員には全く見えません

学校での授業であれば、子どもたちの『わかっている顔』『ちょっと何言っているのかわかんないという顔』『聞いていなくて上の空の顔』『すぐに書き始められるほど理解できたという顔』など様々な表情があります。現場では、この様々な表情を見ながら言い回しを少し崩してみたり色々なアレンジを加えたり、わかっていないであろう子を見つけては隣に行ったりして指導をしたりできるわけです。コンテンツ配信は一方通行。これはコンテンツ配信に付きまとう課題ですね。

通常授業が始まった今は、コンテンツ配信でやっていた内容の振り返りから再度進めているところです。やはり、子どもたちには子どもたちそれぞれの理解しやすい話し方などもあるので、いくら教師側が色々なことを想定しても全員に伝わりやすいようなものを作るのは中々難しいなと思いました。

 

反復系の学習コンテンツは効率よく勉強できる

上に載せていた計算のコンテンツ、地図記号、歴史年号、理科の名称などのいわゆる『覚えるもの』については、効率的に聞き流したり、映像を見ることの学習効果はあったようです。

九九や九九を使った割り算、簡単なたし算やひき算などは、算数プリントでやることも多いですが明らかに映像を見て即答していく方が反復回数も多くなります。コンテンツのバリエーションを増やす必要がありますが、ベースとなるデータを作ってしまえば時間はそこまでかからないので、私の学校でも反復系のコンテンツについては今後も増量していく方向となっています。

 

オンラインよりも学校に来て勉強する方が楽しい

オンライン授業、分散登校、そして通常授業が始まっている今、私のクラスの子たちにどれが一番楽しいのかを聞いてみました。

答えは『今のみんながいる状態』でした。中学生や高校生の発達段階ではわかりませんが、やはり小学生となると友人や先生への距離感などは近ければ近いほど安心感につながっているようです。

家にずっといた時期は、お話するのも家族だけ。一人っ子の子であれば同年代と話をする機会はほぼありませんでした。口数の多い少ないにかかわらず、クラスのみんなの中にいる感覚というのが心のよりどころとなっているようです。子どもたちは表には出さなくてもこのコロナ禍においてはすごく大きなストレスを感じていました。

実際、昨年度の途中でクラスが突然終わった時に各家庭に電話をしましたが、友人ではなく久しぶりに私の声を聞いただけで電話口で泣いている子もいました。

勉強するだけならばオンラインでも可能かもしれませんが、やはり小学生の間は人とのつながりや触れ合いというのは大事だなと感じているところです。

 

本日のまとめ

今回のコロナの影響で、いきなり教員がYOUTUBERにならないといけないような状況で戸惑いましたが、やってみたことで良かったことや課題が少し明確になった気がします。第2波がもしも来た際には、今回のことをさらにレベルアップさせて対応をしていくことができそうです。

ただやはり、小学生がオンラインで学習していく上での課題が残っていることは確かです。そもそも私の小学校では全教員で3カ月で600本ほどの動画を作成して配信していましたが、小学校によってはオンラインは一切なくプリント学習ばかりのところや、そもそも全然連絡がなかった学校などもあったようです。

国からも色々なことを現場に落としてきました。でも具体的なものではなく、結局のところはその学校とそこにいる教員の力に任されていたのが現状です。今となればいきなり出てきた9月入学の話も立ち消えてよかったと思います。もし実行の方向に進んでいたら現場は崩壊していました・・・。

今回はオンラインのことについて書きましたが、次回はこのコロナの中で感じた教師の働き方について少し書こうと思います。

 

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