教育時事

【9月入学制度】導入されている国は?制度導入で学生の留学は進むのかを考えてみた話

ここ数日、急激に議論の対象として浮上してきた『9月入学制度』。都道府県首長の主張などもあり、政府は新型コロナウイルスの感染拡大による学校休校の長期化に備え、9月入学・始業の検討を始めました。安倍首相は「様々な選択肢を検討したい」と表明しており、6月上旬にも導入の可否について方向性を示すとのこと。

 

また菅官房長官は1日の会見で「社会全体に大きな影響を及ぼすものなので、時々刻々と変化する事態を注視しながら、必要な対応を前広に検討していきたい」と述べられ、また政府高官の話では、来年9月からになるとの見通しを示しているというのが現状です。

 

今回の記事では、9月入学制度を導入することでの国際化を図ることの狙いについて『留学』に焦点をあてて考えてみます。もちろんここに書いていることに賛否もあることでしょうが、一個人の見解を述べてみたいと思います。私の考えは『劇的に変わることはない』と思っています。また、次回の記事では、もしも9月入学が導入された場合に起きる小学校現場の動きについて書く予定にしています。

9月入学が制度化されている国

諸外国の入学月の一部を調べてみるとこのようになっていました。

ポイント

・1月:シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー

・2月:ブラジル

・3月:アルゼンチン、韓国

・4月:日本、パナマ、インド

・5月:タイ

・6月:フィリピン

・9月:アメリカ、カナダ、スペイン、イタリア、フランス、イギリス、オランダ、

ロシア、ベルギー、ブルガリア、トルコ、イラン、エジプト、チュニジア、 モンゴル、中国、台湾、ベトナム

・10月:カンボジア、ナイジェリア、セネガル

やはり9月入学の国は多いようです。ではそもそも、日本はなぜ4月入学なのでしょうか。当たり前になり過ぎて疑問も特に持っていませんでしたが、ここには歴史的背景がありました。

 

ちなみに、欧米圏に9月はじまりが多いことの理由として挙げられるのは、『農作業が落ち着く9月に始めれば多くの子どもが農作業と学業を両立できるから』というのが定説のようです。

 

日本が4月入学の制度になっている理由

そもそも、明治時代の1872年に最初に「学制」が公布されたときは、欧米に合わせて9月入学とされていたそうです。おそらくこれは欧米から多くの学者を招いていたなどの事情が背景になっています。

 

そのような中、1886年に固まった官公庁の「会計年度」が、年度を4月始まりに定めました。そしてその官公庁の「会計年度」にあわせて、学校や企業の年度も次第に4月始まりになっていき、1921年に統一された、という経緯があるようです。ですから、かれこれ4月入学制度が導入されて100年の歴史があるということですね。この歴史ある慣例を変えていこうと今動き始めているわけです。

 

9月入学で日本人学生の留学が進むのか??

最近のニュースで、9月入学制度を導入することで学校制度の国際化が進み『留学がスムーズになる』という意見がありました。個人的にはこの意見については???と思っています。9月入学制度を導入することで留学する学生が増えればもちろん良いと思いますが、留学には費用面など時期以外の課題も山積しています。実際に現時点でどれくらいの学生が留学しているのかを調べてみました。

(独)日本学生支援機構による調査2017

政府は、2013年に発表した”日本再興戦略-JAPAN IS BACK”において、『2020年までに留学生を倍増する』とし、留学生総数を12万人ほどにする目標を掲げていました。データを見る限り右肩上がりで推移しているので目標への進捗は上々のようです。

 

ただ私は、『留学がスムーズになる』というのは、グローバル人材を育成するべく9月から海外の大学に入学することを前提?に話が進んでいるのではないかなと思っています。しかし、上の留学期間別留学生の推移を見てみると、2017年では留学生のおよそ60%が1カ月未満のいわゆる短期留学になっているのです。

 

この理由は、大学が提供するプログラムが夏季・春季の長期休暇を利用した2~4週間のものが多いことが挙げられます。また、長期留学することで日本で就職をすることが前提の学生には就活面での不安、留年に対する不安、そして学費や生活費の面での不安も例外ではありません。

 

結局のところ、国内学生の留学者数は年次変化として増加はしているものの、その多くは短期のプログラムであり、海外大学で学問を学ぶというよりも短期語学留学の側面が多いのが現状ではないでしょうか。

 

さらに、1年以上留学をする学生の割合は2017年度では10万5301人中2022人となっており、全体の2%ほどです。この方たちはおそらく海外大学入学組もしくは研究生としての派遣などと思われますが、全体としては少数であるといえます。

 

もしも海外大学への長期の留学を前提にし、日本の大学に属している日本人学生が留学をするのであれば、大学自体の柔軟な制度設計(単位互換、留年しない仕組み等)の再構築も必要なのではないかなと感じるところです。

 

9月入学にすると海外からの留学生は増えるのか?

続いての観点として、海外からの留学生への影響について考えてみます。9月入学にすることで国際化を図るのであれば、海外の学生にとっても日本の大学に留学することが容易になるはずです。海外留学生が日本に来ている現状はどのようになっているのでしょうか。

(独)日本学生支援機構による調査2017

海外からの留学生数も同様に右肩上がりの増加傾向となっています。留学生の主な出身国を見てみると大半がアジア圏の学生であり、欧米圏は圏外となっています。これが9月入学制度が導入されるとどのような変化になるのかには興味が湧くところですが、現状圏外である欧米圏の学生の方々がランキングで上位に食い込んでくることには時間がかかるのではと思ってしまいます。

日本語を習得したり、日本の文学や歴史を学習したい方々は日本に留学に来てくれるのだと思います。ただ、世界大学ランキングをみても学問を探求するのであれば海外には日本の大学のレベルを上回るところがいくつもあるので、あえて日本を選ぶのだろうか・・・とただただ疑問です。ちなみに東京大学は36位、京都大学は65位です。

世界大学ランキング

 

本日のまとめ

今回は9月入学制度導入での『留学』にフォーカスして書いてみましたが、いかがでしたか?留学に関していえば、限られた学生(海外大学へ”入学”する学生)にはメリットがあるといえます。ただ、海外大学へ入学しないような学生にはどこまでメリットがあるのかは疑問が残るところですね。

 

また、最近メディアでは各首長が声高に主張をし、国会や、官僚の方々の中でも声が上がっています。おそらくこの方々はいわゆる『高学歴の集団』であり、全体の2%しかいない海外大学への留学経験者が周りにはゴロゴロおり、グローバル化の必要性を直に感じているからこそ訴えているのだと思います。でも実情は全体の2%。クラスで1人いるかいないかの割合です。とはいえ、グローバル化は重要な課題ですから、9月入学制度が導入されてもしなくても大いに進行してもらいたいと思います。

 

次回は、学校現場に9月入学が導入された場合考えられる課題などを述べたいと思います。

 

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