今回の記事は、主に学生の方向けの記事になります。その学生の方々の中でも、『教師になるか就職するかを悩んでいる方』にぜひ読んでもらいたいと思います。もちろん『私は教師になる!』と高い志を持っておられる方は、頑張ってよい先生になってほしいと思います。ですが今回は『教師になりたい・・・・でも大丈夫かな…』などと教員になりたいけれど意志が固まっていない人や、『教師になりたい・・・・でも世間のことは知らないしな・・・』などと進路に迷っている方の参考になればと書いていきます。
ちなみにこのように書いている私は、企業就職後に教員になっています。私が企業就職した理由は上述の後者です。
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目次
私が企業就職しようとした理由
私は大学時代に小学校、中学校、高校の免許をすべて取得しました。そのような大学で生活をしていると、自ずと周りは教師を目指すのが当たり前のような空気が漂います。とはいえ私の交友関係の中では、企業就職者が多かったり、他大学の友人が多く、多くが企業就職志望者だったのです。そういった友人や先輩たちの様子を見ていたことで、大学2年生の終わりくらいでしょうか、単純に『企業に行くのって楽しそうだな』と思い始めたことが一番最初の動機だったと思います。
とはいっても、学校の先生にはなるつもりで教員免許を取得していたわけなので結構悩みましたね。そもそも私が教師を志したのは、高校の先生との出会いがきっかけでした。ですから、当時は必然的に”高校教師”を目指したわけです。しかし、当時の教員就職を取り巻く環境(特に高校)は非常に倍率が高く、新卒で教員採用試験に合格するのはかなり厳しい状況でした。採用試験に落ちても講師登録をして新卒1年目でも教壇に立つことはおそらくできたとは思いますが、当時でも教員の多忙化が注目され、講師をしながら採用試験を受け続けるリスクもネックになっていました。
そのようなときに、教員採用試験で新卒枠ではなく『社会人経験者枠』というものが自治体によっては取り入れられ始めました。簡単に言えば、社会人経験を数年した者が教員を志した際には、通常の採用試験とは別枠で試験を受けられるというものです。この制度が出来たことによって、ほぼ私は企業就職を決め、社会人枠で教員になる道へ進むことにしたのです。さらに”社会人経験を持った教師”が少ないので、そういったルートで教師になることで自分にとっても他者との差別化を図れるのではないかと考えたことも理由の1つでした。もちろん、企業での仕事がやめられないほど楽しかったりすればそちらを続けることもできますし、自分にとってはベストな選択だったと思います。
あわせて、今の時代でも企業就職するなら圧倒的に新卒が有利であり、逆に学校教員は資格を持っていて試験に通ればいつでもなれるのです。このことも、いずれ教師になるとしても先に企業へ行こうと決意した理由になっています。(ついでに『教師は一般の社会を知らないくせに!』などと言われるのが嫌だったことも理由です笑)
企業就職への気持ちが揺らいだ出来事
大学3年生終わり時点で進路が決まっていた私ですが、実は企業就職をどうしようかと悩んだ出来事がありました。それは4年生初頭で行った小学校の教育実習です。高校教師を目指していたので小学校は全く興味がなかったのですが、免許取得をするために小学校用の単位も取っていたので実習へいきました。子どもと接するのは元々好きでしたし、実習はかなり忙しかったですが、結果的には小学校実習が一番楽しかったのです。そして、実習最終日のお別れの時に子どもたちから『いい先生になってね☆』と寄せ書きやお手紙をいっぱいもらいました。とても嬉しかったですし、この時は本当に心が揺らぎましたね。なぜならば”自分はもう企業への就職が決まっていた”からです。
結果的に卒業後はそのまま企業へ行くのですが、この時の小学校での実習のインパクトが自分の中で強かったことが、今小学校教師をしている理由なのかもしれません。
企業就職をして教員になって活きていること
私は某メーカーの総合職として就職しました。関西に本社を置く会社だったのですが、研修期間を経て渡された辞令にはなんと『東京支店勤務を命ずる!』の文字で非常に驚きました!そして住んだこともない東京での生活と、初めてのサラリーマン生活を開始したのです。企業では色々な経験をすることができましたが、その中でも今の仕事に役立つことはいっぱいありましたので、いくつか紹介したいと思います。
新人研修
私が入社した会社は初めの1カ月ほどは新人研修期間がありました。挨拶、名刺交換、内線の取り次ぎ方、外線の対応、流通システム、商品の生産工程、貸借対照表や損益分岐点などの帳簿系勉強など、毎日毎日ドキドキしながら同期たちと頑張っていました。学校現場ではこういった新人研修は特にないので本当に経験していてよかったと思っています。(先生の場合は就職していきなり1人前扱いで放り出されます笑)
色々な人と出会えた
社内だけでも様々な経歴、年齢の方と仕事をします。同期でも東大、京大などの旧帝大系、有名私大出身者も多数いましたし、それが先輩後輩にもいるわけです。また、大手企業のバイヤー、小売店の店長、問屋さんなど、多くの方々とお仕事をさせていただきました。これは自身の経験としてすごく視野が広がったように思っています。
コスト意識
私が勤めていた会社はあらゆるものに単価が書かれていて、コピー機にも1枚当たりの印刷代などが書かれていました。コストを意識して動くということは、物の扱い方にも関わりますし、自分のパフォーマンスも変わってきます。自分自身に支払われている給料も会社や学校にとってはコストですから、これは会社で刷り込まれた経験が今も活きています!
電話対応(クレームも)
新人時代は仕事も全然わかりませんから、外線を取ったり取引先に電話をしたりすることに緊張していました。それは経験と共に慣れてきましたが、クレームの電話はビクビクです。とはいえクレームは、お客様側に何らかの不満点があるから電話をかけてこられているので、落ち着いて状況をヒアリングし、こちらに落ち度があれば誠意をもって謝罪をし、必要な行動をとらなければなりません。時には営業先でも相手に面と向かって言われることもありましたが笑。学校現場でも色々な電話がかかってきます。新人の先生は電話が怖いらしいですし、保護者の方に電話をするのも苦手な人が多い気がします笑。私は企業時代にその恐怖をかなり経験済みだったので、初めから落ち着いて対応することが出来ました。
かなりの出張生活
私は営業だったので、週の半分以上は出張でした。東京に住むこと自体初めてでしたし、関東甲信越、東北、北海道などを駆け巡る生活は、新鮮な毎日でした。教師も出張はありますが、研修会などが主で会社員の方々の頻度から比べるとかなり少ないです。私は食べることや景色を見たりすることも好きなので、東日本を駆け回っていた当時の日常は今の仕事では絶対経験できないですし、出張で見聞きした経験は学校の授業でも生かせることが多々あります。色々な経験がある方が話すネタの幅も広がりますよね!
流通事情に詳しくなった
仕事をしていると、お金の流れ、商品の流れ、人の流れなど色々な流れの中で職務を遂行していきますよね。働いているときは『商品完成⇒倉庫へ⇒問屋⇒倉庫から配送⇒各店舗』のような流れの中に当たり前のように浸かっていました。また、商品が小売店などでレイアウトされる際に垣間見える商品ごとのパワーバランス、販促費が潤沢でCMをバンバン打っている企業の強さ、バイヤーの方や問屋の方との関係構築などにも目を光らせる日々。社会の学習でも商品の流通などの学習がありますが、そこに書いているような内容は『商品が生産されて消費者に行きつくまでには多くの人手を介して届くので商品原価からは大きく値段が上がる』というような感じです。間違いではありませんが、経験していれば話の幅ももっと大きくできますよね!これは教科書の勉強だけでは絶対にわからない部分です。
目標達成意識が向上した
私がいた会社はかなり”体育会系”でした。毎朝大きな声で社訓を読んだり、詰められたり笑。とにかく目標を達成しないといけないので、プロジェクトチームで本当に色々試行錯誤して頑張っていました。『厳しいな・・・無理かも。。』みたいなことも多々ありましたが、そんなこと言ってられません。体育会系のマインドが強かったので『いやっ絶対に何かできる方法があるはずだ!』と何が何でも達成させるという意識と実行力はかなり身についたと思います。
拘束時間が相当ブラック
間違いなく私がいた会社はブラックだった(今は改善されていることを祈るばかり)ので、16時間労働とかが普通の状態でした笑。当時は新卒で社会も初めて、また体育会出身だったこともあり、気合と体力だけはあったので乗り切れていました!そのブラック環境で、日々クレームと戦い、出張で飛び回る生活をしていたおかげで、ブラックと言われる教育業界に入ったものの、労働時間に関しては何の苦しみもありませんでした。これはメリットとは言いつつも、労働時間についてはいい意味で麻痺していたということでしょうか笑
企業出身という優位性
学校の先生は大学卒業後ストレートで先生になっている方が多いので、どんな業種であろうが企業出身であるというだけで違う目線で見てもらえます笑。これは保護者も同様で、自己紹介で自身の略歴を話す際に私は企業出身であることを伝えるようにしています。仕事内容などは話さなくても、保護者の方からすると担任が『社会へ出ていた』ということは何か漠然とした安心感にはつながっている様子です。最近はごく一部の教師が起こす不祥事のせいで『教員は一般常識がない!』などと言われていたりしますしね。そういった批判もされにくくなりますよね!
会社勤めの実情を知れた
自分が教えている子たちで教師になる子はほとんどいないと思います。また、保護者の方も大多数はお勤めの方々でしょう。そのような方々の事情を少しでも知っていることは大きな強みです。参観日やPTA活動など、ご自身の仕事がある場合は、普段ほとんど取れない有休をとって来校していただくことになります。いくら子どもたちのためとはいえ、自分の仕事を止めて来ることは大変な負担になっているはずです。働いている方の実情を知っているからこそ、『せっかく来ていただいた保護者の皆様には何かを持ち帰っていただかないと』と私は思います。このような意識が企業勤めをしていたからこそ強くなったのではないかと思っています。
新卒で教師になっている人と企業出身者との差
この二者に発生することは”教師としての経験値の差”です。私もこんなことを言われたことがあります。『○○君が企業で○年勤めている間に、○○君は学校で○年勤めているわけだからその分の差はあるよね!』と。それはそうですよね笑。社会人経験があっても、免許があるとはいえ教師経験はないわけですから。
とはいえ実際に企業経験後に教師になった身としていえることは、『教師間の力の差は努力で埋められる可能性があるけれど、社会での経験値は初めから教師の人たちにはおそらく負けない!』ということです。教師としてのスタートは遅れたとしても、先に先生になった人との差は、努力して頑張れば少しずつでも縮まっていきます。どうやっても追いつけないすごい先生がいたとしたら、近づけるように教えを請うたり、真似をして自分流にアレンジしていけばよいのです。
また、社会での経験値は負けないと書きましたが、新卒で教師になった人が一度社会へ出て、また教育現場へ戻ってくるということは稀でしょう。この優位性は絶対にその先生の武器になるはずなのです。(特に公立の高校教諭を志望されている方は、配属校によっては高卒で就職する生徒もいると思います。そういった生徒たちを導いていく際も自身の経験があるのとないのでは違いが出てきますよねきっと)
あと、学校現場はやはり狭い世界(閉鎖的な世界?)なので、外からの風は嫌がられるかもしれませんが、吹き入れるに越したことはないと思います☆あっもちろん、新卒で先生になっている方々を否定しているわけではありませんので、その点はご理解ください。
本日のまとめ
今回は新卒で教師か企業就職かというテーマで書きましたが、いかがでしたか?教師になる方法はいくらでもありますし、いつでもなれます!大事なことは教師になってから子どもたちにどれだけ多くのことを伝えられるかだと思います。子どもたちは、99%以上が教師になりません。私のように企業経験をしないにしても、人生の経験値を高めておくことは子どもたちと接する上でとても大切です。
大学時代は、勉強、遊び、留学、企業インターン、就職活動、ボランティア等、色々な経験をしてください。絶対に教職についてから役立ちます。
大学卒業後の進路選択は、人生において大きな選択となります。自分がどうなりたいのかをしっかりと考えて道筋を作ってください。私の例はあくまで一例。私自身は満足していますが、人によっては同じ結果にならないかもしれません。落ち着いて自分自身と向き合ってみて下さい。何か参考になっていれば幸いです☆
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