今回は中学入試を志し『塾』に行こうとした場合、いつごろから通いだして、どんな形式の塾を選ぶべきなのかを小学校現場の目線から解説していきたいと思います。前回の記事でも書きましたが、特に公立小学校に通っていて中学入試を受けようとする場合は、塾に通った方がよいと書きました。詳しくは下記記事をご覧ください。
中学入試を目指して子どもたちは勉強をしていくわけですが、現実問題として大半の児童が進学塾へ通っています。塾でも定期的に面談などが行われていたりして、保護者の方も色々と相談したりしているはずです。
しかし、子どもの成績が伸びなかったりすると保護者の方々はその塾が自分の子どもに合っているのかなどを悩み始められます。そんな相談を一日の大半を子どもたちと過ごしている私たちにされる保護者の方々も多いのも事実です。今回は、私が現場で子どもたちを見ていたり、実際に相談された件などをもとに書いていきます。
目次
中学入試を目指して塾に通いだす学年は何年生くらいから?
大半の児童が中学入試を受ける私の勤務校では大きく3パターンほどのタイミングがあるように思います。どのパターンがお子様に適しているかはわかりません。それはお子様を見ている保護者の皆様の判断が重要なのです。ではその3パターンを解説します。
パターン① 小学校入学時点から
入学した時にはもう中学入試を視野に入れて塾に行っているというパターンです。これは小学校に入って塾を探して入塾させるというよりも、お受験の際に利用していた幼児塾の小学校過程にそのままスライド的に入っていることが多いです。ですが、このパターンは3つのパターンの中では少数であり、多くのご家庭はお受験が終了して小学校に入学する時点では一旦塾関係の習い事はリセットされているように思います。ピアノやバレエ、運動系などは引き続き取り組んだり、新たに始めるご家庭も多いですね!
パターン② 小学校3年生から
おそらくこの段階でクラスの3分の1くらいは塾に通っています。体感的に”将来医師になりたい(させたい?)”と考えているご家庭の子はほぼ行っていると思います。あとは、家庭での学習支援が難しくなってくることも要因かもしれません。中学入試を目指すうえでは先取りで学習をしていく必要があります。例えば3年生の算数でも、植木算や方陣算や和差算などの基本は習得しておく必要があります。発展問題は3年生とはいえ国の教科書のレベルからはかなりかけ離れているので”塾へ”という選択にもなっているのではないでしょうか。
パターン③ 小学校4年生から
この段階でほぼほぼ塾に行っています。この段階になるとクラスの中で塾通いをしている子たちが多くなっているので必然的に『そろそろかな』と検討に入られて入塾されるケースが多いように思います。また、当然ながら家庭内で学習支援をしようとしても子どもが中々言うことを聞かなかったり、学習内容自体も難しくなってくるので塾へ行かせようとなってきているのだと思います。
ちなみに5年生くらいから塾へ行かせようと考えられる保護者の皆様もいます。この理由は現実を物語っているところもあるのかもしれません。
5年生くらいから塾へいくパターン
このパターンは少数ですが、お兄ちゃんやお姉ちゃんが中学入試を終えているご家庭に多いように思います。上の子を早い段階塾に通わせたものの、子どもも親も大変だったことや振り返ってみるともう少し伸び伸びさせてあげてもよかったのでは?と考えていらっしゃるご家庭の方ですね。もちろんそういったご家庭は、上の子での経験で受験に対する意識や流れを理解されているので、それを分かった上でこの時期の入塾という舵を切られていることは言うまでもありません。
これはあくまでも私の小学校での体感です。カリキュラム進行が公立校よりかなり速いのでこうなっているのかもしれません。公立小学校に通われている場合は、特に算数の事を考えると3年生時点では入塾を検討する方がよいかもしれません。
どんなタイプの塾を選べばいいの?初めは集団講義型かと!
前回のブログで書きましたが、中学入試を志す場合に選択肢に入るのは学習塾ではなく進学塾です。その進学塾でも色々な教室がありますが、授業形式のタイプでいえば私は『集団講義型』の進学塾を勧めます。まずは集団講義型のメリットについて書きます。
集団講義型のメリット
- 個人のペースに関係なく進む
- 詰め込んでいくには効率が良い
- 同じ方向を向く友達ができる
小学生で数年後の未来に向けて計画を立ててコツコツと取り組んでいける子とご家庭は稀だと思います。その点、塾での集団講義の場合は、本番から逆算してカリキュラムを組んでどんどん進めてくれます。これは特に中学受験を経験したことがないご家庭には大きなメリットであるといえます。
さらにスピードが速いのでかなりの詰め込みの要素が必要な中学受験においては優位性がありますよね。加えて教室内には基本的に受験をする児童しかいないので頑張ろうと思う理由にはなります。
ではここでデメリットも書いてみます。
集団講義型のデメリット
- 個人のペースに関係なく進む
- 質問しにくい雰囲気?
- 新たな人間関係のもつれが発生?
1つ目はメリットでもありましたが、デメリットでもあります。猛スピードでどんどん進んでいくので、理解ができてようができていまいが進んでいってしまうのです。もちろん塾の先生もわからなければ質問は受けてくれます。ただ、子どもたちにとってわからないことを質問することは”自分がわかっていないことの宣言”になってしまうので、質問をしにくいこともあるそうです。この2点があるだけで、成績の成長速度が著しく低下していきます。しかも高学年になると親に成績の低下を指摘されても『わかってる!』となってしまうことも多く悪循環に入ってしまうのです。
3つ目に書いたこととして、成績をバカにされたり物を隠されたりなど学校外でもそのような問題が新たに発生するリスクがあることも、集団でいる場合には起こる可能性があるのでデメリットといえます。
以上の事から、進学塾に通うと決めた場合は中学受験を受ける上での意識も芽生えると思いますので、デメリットも挙げましたが”初めの段階”としては集団講義型をお勧めします。
そうなんです!とっかかりとしてはいいのですが、やはり成績が伸びなかったり合わない子が結構出てくるのです。
集団講義型で成績が伸びなかった場合の対処
問題はここからなんですよ!この相談を塾じゃなくて学校教員の私が相談を受けているんです笑。そもそも塾で成績が伸びていない子たちに共通することがあります。それは学校の勉強でもつまずいているということです。学校での学習は、進学塾よりも難易度は低いです。その学校の勉強でつまずいているのに進学塾での発展学習についていけるわけがありませんよね。
これはもちろん学校の責任でもあるわけですが、そういったことを少しでも解消しようと補講や勉強合宿なども学校では実施しています。しかしながら、その補講を受けてもらいたい子たちは補講に来ないんです。その理由が”塾が間に合わないから”なのです。これは負の循環に入ってしまっていますよね・・。
そして、塾へ行き、全然理解できない授業を受けて、その宿題をわからないのに夜中までやるというループに入っていきます。これでは伸びる成績も伸びません。ここで私が保護者の方にするお話が下記です。
塾のクラスを落としましょう
ついていけてない時点で、そのクラスにはレベルがそもそも合っていません。時間には限りがあるので無駄な時間の浪費は防ぐべきです。
でも子どもにその話をすると反対します!『わかっているから大丈夫』『もういいって、うるさいな!』などとその立場を守りに入ります。それはそうですよね!彼らは集団の中で成績で座席が決まったり成績が貼り出されたりと競争の中で生きています。目に見えてクラスを落とされたりしようものならば彼らの見栄やプライドはずたずたになります。
ですが、ここは大人の判断が必要です!子どもが『頑張るから』と言い、親が『あなたを信じるよ!』というやり取りをしても根本的には何も解決しないのです。この決断ができるかどうかは、いかに普段からお子様の様子をしっかりと見ているかにかかっています。しっかり見ていれば彼らを諭していくことは可能でしょう!
実際にクラスを落としたことによって、精神的に安定した子もいました。
塾を変えましょう
こうすることでまず上に書いた目に見える”降格”によるプライドのダメージを防ぐことが可能です。また、進学塾大手の中でも様々なタイプがあります。宿題が多かったり少なかったり、学校の友人がいたりいなかったり、環境を変えることも再スタートを切るには良いと思います。
この話をするといつも思うのですが、保護者の皆様が無意識に”塾をやめるのは悪”みたいな考え方を持たれている方が多いように感じます。
もちろん塾も商売ですから子どもがやめられたら困るわけですよね。『もう少し頑張ったらいけますよ!』『○○特訓を受けてみますか?』『ここから伸びる子もいましたよ!』などと声をかけてくださります。しかし実際にはその子は伸び悩んでいたり伸びていないわけです。
わかっていない授業を受け続けて伸びていった子はやはり見たことがありません。色々な外的要因ではなく、お子様にとってどうなのかをしっかりと判断してもらいたいと思います。
個別と並行か個別、家庭教師へ移行
この段階では塾のクラスは落とした方がいい状態ですが、急激なリカバリーを図るにはわかっていないところを徹底的に潰していく必要があります。そこで個別指導などを並行利用したり移行したりすることで苦手分野の洗い出しと習得が容易になります。個別指導や家庭教師については別記事でまた書きますが、弱点克服についてはメリットが大きい方法ですね。スピード感はやはり集団講義よりも落ちてしまいますが、弱点を潰す方が優先ですね。
オンラインコースへ移行
ここでいうオンラインは、リアルタイム配信という意味ではなく、録画したコンテンツを使って学習することです。塾によってはそういったコースがない場合もありますが、このメリットは大きく二つ。1つ目は、塾への通学時間の大幅削減によって学習時間の余裕が生まれること。2つ目は、わからなかったら巻き戻して何度も聞けることです。子どものプライドもそこまで痛まないと思われますし、オンラインコンテンツに出てこられる先生は塾自体が自信を持って世に出しているので普段受けられない方の授業を受けられる可能性もありますね!質問をリアルタイムでできない点はデメリットではあります。
本日のまとめとして
今日は集団講義型の塾に入って中学受験の勉強を進めていくことについての話を書きました。入ってからうまく進んでいくことができていればそれに越したことはありません。その時はしっかりと応援してあげて下さい。ただ、とんとん拍子で進んでいかない子がいるのも事実です。そこは保護者の方々の親としての腕の見せ所。普段からの子どもたちの様子を把握できているかがキーになります。
私の妻も私立小学校から中学受験をしていますが、塾時代はある意味の洗脳と恐怖などでやらざるを得なかったとも言っていました。いずれにせよ、子どもたちはそうとう頑張っていることは間違いないので、支えてあげたいですね!
次回は、個別指導塾や家庭教師の選び方について書きたいと思います。今日の内容が少しでもお役に立っていればうれしいです!
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